<日々是出会>2026/09/05
9月17日、集英社新書から、共同通信記者・市川亨氏の「障害者福祉ビジネス~食いものにされる税金と利用者~」が出版されます。
市川氏はこれまで、障害者福祉や介護、精神科訪問看護などの現場を取材し、福祉の制度や公的なお金が、本来支援されるべき利用者のためではなく、利益を優先する事業者によって利用されてしまう実態を追ってきました。
このタイトルは、とても強い言葉です。
しかし、福祉の現場にいる私にとっては、誰かを批判するための言葉としてではなく、「自分たちの支援は、本当に利用者のためになっているのか」と、自分自身に問い返すきっかけになる言葉だと感じています。
福祉事業も、継続していくためには収益が必要です。職員の生活を守り、サービスの質を高め、新しい支援に挑戦するためにも、健全な経営は欠かせません。
問題は、利益を得ることではなく、「何のために利益を生み出すのか」ではないでしょうか。
利用者の人生をより良くするために利益を生み出すのか。それとも、利用者や制度を利益を生み出すための対象としてしまうのか。
この違いは、とても大きいと思います。
私たちNPO法人宮崎もやいの会も、日々の支援の中で「利用者ファーストとは何か」を問い続けています。
利用者が少し笑顔になった。
誰かとつながることができた。
自分らしく地域で暮らすことができた。
こうした変化こそ、福祉の大切な価値です。
だからこそ私は、「利用者を大切にすること」と「事業として持続すること」は両立できると信じたい。
利用者に必要とされ、家族から信頼され、職員が誇りを持って働き、地域から必要とされる。その結果として事業が成り立っていく。
それが、これからの福祉の一つの在り方ではないでしょうか。
市川氏の長年にわたる取材と問題提起に敬意を表するとともに、この一冊が、福祉に関わる私たち一人ひとりが「自分たちはどうなのか」と立ち止まって考えるきっかけになることを期待しています。
私自身も、この本から投げかけられる問いを受け止めながら、これからも支援者としての在り方を問い続けていきたいと思います。
真摯に利用者と向き合い、自らの支援を問い続ける支援者が地域に一人、また一人と増えていくことが、地域支援のボトムアップにつながっていくのだと思います。
全文のコラムを宮崎もやいの会のHPの個人的コラムに掲載しています。
|