「精神障がい者は、今の社会を新しく変えて行く存在である!」          

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 ー故外山良治県議が県議会で精神障がい者に対する
県の対策を質問した資料ですー


「外山良治県議会議員の精神障がい者に関する県議会での質問及び答弁内容」

● 平成229月議会より  「精神障害者福祉について」
● 平成2211月議会より 「精神障害者対策について」


9月県議会質問

★精神障害者福祉について

 日本における精神病者の強制処遇は、明治33年「精神病者監護法」に始まっています。戦争が続く中で精神障害者は、私宅監置(自宅の一室や物置小屋の一角などに専用の部屋を作り精神障害者を監置という)監獄より劣悪な状況下に置かれていたようです。
 昭和25年の精神衛生法の制定以降、精神科病院への入院を中心とした処遇が進行しました。精神障害者の社会復帰の推進を図る動きもありましたが、地域資源の不十分さの背景と、福祉より治安を重視することで「精神障害者の収容体制を強化する」ことになり、入院患者数が急増しました。
 この様な中にあって、大和川事件等精神科病院における人権侵害事件を契機に精神障害者の人権擁護を求める声の高まりを受け、昭和62 年に精神衛生法を改正し、名称も精神保健法へ変更、近年、障害者基本法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、障害者自立支援法等を経て、現在に至っています。
 法律では、入院中心から地域移行への方向転換が目指されていますが、依然として多くの長期入院患者が存在しているのが実態となっています。
 全国で35万人の内7万人が社会的入院者、宮崎では、入院5,547人の内1005名が社会的入院者(17年度)との現状にあります。
 1901年(明治34年)、精神病者の無拘束運動を推し進め、日本における私宅監置での患者の人権侵害は社会的にも許されるべきものでないことを訴え続けた精神科医呉秀三の言葉に、精神障がい者にとって20世紀は、「此病ヲ受ケタルノ不幸」と「此邦二生レタルノ不幸」の二重の不幸を背負っている」と、言っています。「二重の不幸」という言葉に対す知事の所感をお伺いします。

答弁:
 障がいの有無にかかわらず、住み慣れた家庭や地域の中で快適で豊かな生活を送りたいというのは、誰もが思うことであり、精神障がい者の皆さんが、地域で生活したいと願うことは、当然のお気持ちだと考えております。
 しかしながら、我が国においては、長年にわたり、入院医療中心の対策がとられてきたため、地域生活に必要な受け皿が十分とは言えない状況にあり、社会的入院などの課題も多いと認識しております。
 このため、国において、平成16年に、「精神保健福祉の改革ビジョン」が策定され、 
 「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本方針の下、「国民の意識の改革や、立ち後れた精神保健医療福祉体系の再編と基盤強化を進める」との方向性が示されたところです。
 県においても、このビジョンに従い、地域移行をはじめとする施策の推進に努めており、今後も、重要な行政課題として取り組んで参りたいと考えております。

★精神障害者対策の宮崎の現状について質問します。

 入院施設における在院患者数は、平成11年の病院報告では10万人当たり490人で全国5位、平成20年も490人で全国3位になり10年間在院患者数が変わっていません。答弁を求めます。

答弁:
 精神障がい者につきましては、長い期間にわたり、「入院医療中心」の施策が続いてきたこともあり、病床数、入院患者数とも多い傾向が続いております。
 現在、本県におきましては、国の「精神保健福祉の改革ビジョン」に基づき、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本方針の下、市町村や関係機関と連携を図りながら、精神障がい者の方が、一人でも多く地域の中で自立した生活ができるよう、積極的に、支援に努めているところであります。

 ※神奈川県137人 滋賀県149人 静岡県162人 東京都165人 愛知県165人(H20年度)

質問:
 21年度精神障がい者地域移行支援事業を利用して退院された方は宮崎県域で何人でしょうか?答弁を求めます。

答弁:
 平成21年度に、精神障がい者地域移行支援事業によって退院された方は、支援対象者12人のうち、4人となっております。

質問:
 21年度本県の精神医療費対保健福祉費の金額と割合等について答弁を求めます。 

答弁:
 精神科に係る医療費は、複数の保険者にわたっており、本県分の医療費を算定することはできませんので、精神医療費と福祉保健部の予算を比較することは難しいとと考えております。
(資料:1)

★入院医療費について、

1人当たりの入院医療費が月40万円から50万円かかるとして年500万の入院医療費になる。退院可能な社会的入院者が、宮崎県で1005名と公表されています。この方達にかかる入院医療費が毎年502500万円になります。退院可能な入院者を退院させて、生活保護で生活したとしても12600万円です。
 現在、医療費対保健福祉費の割合を見ても、如何に入院医療に偏っているかが理解できます。これを変えるには退院後の地域での生活を支援する方向に転換すること以外にないと思います。
 そのような視点から、精神障がい者も、地域住民の一人として、本人が望む生活を安心して送ることができるような地域社会の構築を推進することが行政の責務と考えます。

質問:
 退院者及び地域在宅者が地域で生活するに当たり地域における受け皿がどのような現状であるか、退院促進事業実績と合わせて答弁を求めます。
(資料:2)

答弁:
 精神障がい者の皆さんが、住み慣れた地域で安心して生活するためには、居住の場の確保や就労に向けた支援等が必要であると考えております。
 このため、共同生活を行う住居で、日常生活上の援助が受けられるグループホーム等の整備を進めるとともに、就労に向けた支援等を行う障害福祉サービス事業所を整備するなど、精神障がい者が地域で生活するための受け皿づくりを進めております。
 また、地域において自立した日常生活や社会生活が営めるよう、必要な援助や交流の促進を図ることを目的として、地域活動支援センターも設置されております。
 次に、精神障がい者の退院を促進する事業の実績につきましてはこれまでに、82人に対して支援を実施し、このうち、46人の方が退院されたところです。

★入院から退院するに当たり問題となるのが、居場所となります。

 家族が引き受けてくれれば問題は無いのですが、家族は経済的・身体的・精神的な負担を抱えながら、全ての負担を家族が背負った状況での生活には限界があり、地域移行を進める上でも家族を受け皿と考えて保護者としての役割を期待することは難しいケースが増えています。早急に家族の負担を軽減するような社会的支援の拡充を図ることが、地域移行の推進にも繋がると考えます。

質問:
 担当部長の今後の取り組み等について答弁を求めます。

答弁:
 本県では、3つの障がい保健福祉圏域において、5つの地域移行支援事業所が、地域移行推進員を配置するなど、精神障がい者の地域生活への移行を支援しております。
 しかしながら、精神障がい者の皆さんが、住み慣れた地域で安心して生活するためには、より身近なところで、関係機関や専門の職員等が密接に連携を図りながら、支援していく必要があります。
 このため、地域移行支援事業所がない地域における支援体制の整備を進めるとともに、関係機関や家族等の理解の促進が必要と考えております。
 県としましては、今後とも、市町村や関係機関と連携を図りながら、精神障がい者の方が、一人でも多く地域の中で自立した生活ができるよう、積極的に、支援に努めて参りたいと考えております。

 宮崎に於いては、病院が運営しているグループホームがほとんどであり、国の施策である地域移行・脱病院からすると病院の囲い込みでしかない、と言う方もいます。
 就労に関しては、法定雇用率を守らなければならない企業に勤めている精神障がい者は、24.5人です。ちなみに身体は1,358人、知的は380人という現状を考えれば精神に対する企業側の偏見などが根強くあるといえます。

質問:
 精神障害者雇用促進の取り組みについて現状と課題について答弁を求めます。

答弁:
 精神障がい者をはじめとする障がい者の雇用促進につきましては、就業・生活に関する総合相談窓口である「障害者就業・生活支援センター」を本年度、2か所増設し、7つの全ての障がい保健福祉圈域への設置を完了したところであります。
 また、企業等の障がい者雇用や職場実習に対する理解を深めるため、「企業向けセミナー」の実施のほか、県庁での職場実習や、臨時職員としての雇用機会の提供、さらには、就労に向けた訓練を行う障害福祉サービス事業所の整備・充実など、様々な取り組みを推進しております。
 しかしながら、障がい者の雇用を取り巻く状況は大変厳しいものがありますので、身近なところで就業の相談ができ、必要な支援が受けられる体制の整備・充実や、企業の障がい者雇用に対する理解促進に一層、努めていく必要があると認識しております。
 県としましては、今後とも宮崎労働局等の関係機関と連携しながら、障がい者雇用の促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

質問:
 就労・訓練合わせて約340人以外は把握できているのか答弁を求めます。(通院医療費の受給者)で結構です。

答弁:
 精神科通院に係る医療費の給付を受けられている方は、平成22年2月28日現在で、約1万3千人となっておりますが、これらの方々が、日中どのような状況にあるかは、把握をいたしておりません。

 居場所として地域生活支援センターか病院のデイケアか自宅で過ごしているのが現状といわれています。

 地域生活支援センターは、県内5ヵ所(串間市・日南市・宮崎市・日向市)しかなく、宮崎市の2ヶ所は交通便の悪い場所であり利用し辛いようです。また、4ヶ所の支援センターは医療法人が運営しているので、他の病院の患者さんは利用し辛いのが現状となっています。

 1、宮崎市 江南よしみ  [実施主体:社会福祉法人敬尚会]
 2、宮崎市 すみよし   [実施主体:社会福祉法人清樹会] 
 3、日南市 和み     [実施主体:医療法人同仁会] 
 4、串間市 ウィング   [実施主体:医療法人十善会] 
 5、日向市 はまゆう   [実施主体:医療法人向洋会]


質問:
 地域生活支援センターの利用者及び延岡、小林、都城への適正配置が必要と思います。答弁を求めます。

答弁:
 主に精神障がい者の方が利用する地域活動支援センターI型の登録者数は、平成21年8月1日現在635人となっております。
 同センターの設置につきましては、実施主体である市町村が、地域の実情等を勘案した上で、事業者に委託などをすることとなっておりますので、今後、市町村の要望等を伺いながら適切な支援を行って参りたいと考えております。

質問:
 このように退院者及び在宅者が地域で生活する上で必要な訓練をする場所であるグループホーム・支援センター・デイケアなどの施設がすべて特定の病院の敷地内で運営されている現状では、地域での生活を中心にした理念を掲げる施策からしたら程遠い現状にあるといわざるを得ません。部長の見解を求めます。

答弁:
 県におきましては、精神障がい者の皆さんが、住み慣れた地域で安心して生活できるよう、居住の場の確保や就労に向けた支援等進めているところであります。
 しかしながら、地域で生活するための受け皿は、未だ十分とは言えない状況にありますので、引き続き、市町村や関係機関と連携を図りながら、地域における支援体制の充実に努めて参りたいと考えております。

 日中過ごす場所が無いがゆえに社会生活に対する弊害が生まれ快復には程遠い生活を送っているのが、精神に障がいを持った方達の生活となっています。現状打開するには、地域の中に気軽に過ごせる居場所としてのセンターを作り、退院者及び在宅者が快復につながるプログラムを取り入れ、社会参加・貢献が実現できる居場所が必要であると考えます。
 ピアサポートやピアヘルパーなどを通じてお互いが支え合うことで、当事者のマンパワーを引き出し、自信と誇りが快復でき、退院予定者に対して同じ仲間として退院のサポートをすることも可能となります。
 居場所としての重要な点は、孤立させないで作業や拘束される時間などなく自由に過ごすことで、自分たちの持っている資源を自分たちで引き出すことを通して社会貢献や自主事業を目指すことで、いつまでも障害年金受給や生活保護に頼る生活でなく、納税者及び社会貢献を目指すことが可能なセンターになると考えます。

質問:
 そのためにも退院者を増やし、その資源を使って新たな可能性を生み出すことに活用することが地域生活中心のあり方に沿った施策ではないかと考えます。知事の答弁を求めます。
 精神に障害があっても社会に貢献して認められ、自信を持ち、誇りを持って社会の中で生きていきたいと大勢の方が思っておられます。

答弁:
 精神障がい者の支援につきましては、「入院医療中心から地域生活中心へ」という、大きな流れの中にあり、障がい者が、個人の尊厳に配慮されながら、住み慣れた地域で社会の一員として自立して生活し、社会経済活動に主体的に参加できる社会づくりが、大変重要であると考えております.
 県としましては、今後とも、市町村や関係機関等とも連携しながら、地域移行の推進をはじめ、精神障がい者や家族の皆さんに必要なサービスを提供するための施策を、推進して参りたいと考えております。

※コメント
 7割の家族が、本人が病気になってから、趣味など行う余裕がなくなったと応えています。その内8割の人がその理由を精神的余裕がなくなったからと答えています。
 家族が自分らしく、ゆとりを持って生活することはとても大切であり、当然の権利です。本人への必要な支援がない中で、支える家族に大きな負担がかかり、人権が無視された生活が何時までも続いています。


11
月県議会での質問

● 精神障害者対策について

質問1、
 精神障がい者対策についてお伺いをいたします。全国320万人、40人に1人が精神疾患であるのが我が国の現状であります。入院医療中心から地域生活中心へと国は大転換を進めています。国は、精神保健医療の改革ビジョンで、「地域を拠点とする共生社会の実現」として、関係機関の連携のもとで医療・福祉等の支援が推進されています。しかし、本県の現状は、県内の在宅の精神疾患が5,500人、退院可能な社会的入院が1,000名、合わせると6,500名中、現在就労者24人、サービス事業所利用者が315人、医療法人が運営している地域生活支援センターか病院のデイケアを利用している人も一部いますが、大多数は自宅での生活となっています。
 現状を踏まえれば、地域で気軽に過ごせる場所をつくり、退院者及び在宅者が自由に交流、回復するプログラムを取り入れ、社会参加、社会貢献が実現できる居場所が必要だと考えます。地域における居場所の不足及び既存の施設のあり方に対してどのようにお考えか、答弁を求めます。

答弁1
福祉保健部長(高橋博君) 精神障がい者の皆さんが、住みなれた地域で安心して生活するためには、居住の場の確保や就労に向けた支援等が必要であると考えております。このため、共同生活を行う住居で日常生活上の援助が受けられるグループホーム等の整備や、就労に向けた支援等を行う障害福祉サービス事業所の整備などを進めております。また、地域において自立した日常生活や社会生活が営めるよう、必要な援助や交流の促進を図ることを目的として、地域活動支援センターも設置されております。しかしながら、長年にわたり入院中心の対策がとられてきたため、地域で生活するための受け皿づくりが十分とはいえない状況にありますので、今後とも市町村等と連携しながらその整備に努めてまいります。

質問2、
 このような現状を踏まえて、訪問医療を中心としたACT(包括型地域生活支援プログラム)が地域で導入されて、非常に評価をされています。国としてさらにこれを推進すべく来年度の概算要求に盛り込まれています。ACTは、単なる訪問医療・看護ではなく、生活訓練や就学・就労支援を含んだ生活全般の支援を、専門職が一緒にチームをつくって、地域での退院者及び在宅者を支援する体制でございます。ACT事業を導入し、在宅福祉の充実を図る必要があると思いますが、知事の答弁を求めます。

答弁2
知事(東国原英夫君) 精神障がい者への支援につきましては、平成16年に出された国の精神保健福祉の改革ビジョンにおいて、「入院医療中心から地域生活中心へ」という大きな流れが示されておりますが、さらに、昨年秋に出された「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」という報告書では、精神障がい者同士の支え合いなどを重視した、「地域を拠点とする共生社会の実現」という大きな理念が加えられ、我が国の精神保健医療福祉の方向性がより明確化されたところであります。このため、現在、精神障がい者の皆さんが、住みなれた家庭や地域の中で快適で豊かな生活を送るための基礎づくり、基盤づくりに努めているところであります。御質問にありました包括型地域生活支援プログラム、いわゆるACTにつきましても、地域生活を送る上で有効なサービスの一つであると考えております。県といたしましては、今後とも、市町村や関係機関とも連携しながら、地域移行の推進を初め、精神障がい者や家族の皆さんに必要なサービスを提供するための施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。


 ありがとうございました。ACT事業、本当に推進をしていただきたいと思います。今、全国にたしか13ACTだと思います。福岡が来年ごろに導入というふうに聞いています。九州は非常に入院患者が多い。在宅福祉が進んでいないのが九州でございます。そういった意味を含めてぜひ積極的な対応をお願いいたします。

 


   
 
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