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写真展「I Love みやざき」を見ての感想

写真展「I Love みやざき」を見て!

西畑 良俊

 僕もかつて、うつ病の診断を受けたことがある。通院し、薬を飲みながら、仕事のときは体に鞭打って出勤し、手に力が入らないのを感じながら何とか過ごし、土日になるとひたすら寝ているだけの日々。当時の景色を思い出すと、白黒でしか思い出せない。当然そこにあるはずの風景の色が、失われていたのだ。

 そんな体験があるからか、写真展を見た時の感動と言ったらなかった。

 白黒でしか景色を見えないような、また、見えている範囲もかなり狭いはずの精神障害当事者の皆さんが、写真を撮るために辺りを見回し、シャッターを切る姿を思い浮かべた。

当時の自分と重ね合わせて、飾られた1枚1枚の写真を、様々な背景を想像しながら、味わうように眺めた。

 ファインダーを覗く当事者の方々が見ていたものは、ただそこにある風景だけだったのだろうか。そんな風には思えない。ファインダーを通して、病気を抱えた自分とは少し離れた、社会の一場面を切り取った、そんな写真が多かったように思う。

 そこに切り取られたのは、精神障害当事者の心の叫びだろうか。それとも、理想的な社会、いや、理想的な自分自身の姿を思い描き、温かな人とのつながりの中で安心して過ごす人々の姿だったのだろうか。

 何か、写真を見つめる瞳の奥にある、想いを感じたような気がした。

 そして、当事者の方々を、写真のワークショップに連れていくということを実行された小林順一さんに賞賛の拍手を送りたいと思った。

 自分がもし、うつ病を患っていたときに、カメラを持って街を歩くなんてことをやろうと思っていたら、四季折々、違った表情を見せる身近な自然の存在に気付いたり、街ゆく人々の背中にそれぞれの人生を感じたりと、日常生活を過ごすだけでは気付けなかった「何か」を感じることができ、そこから自分の心の病は快方に向かったのではないかと思うからだ。

 もちろん、それだけで全快するなんて思わない。ただ、大学時代、APSのカメラを持ち歩き、「パパラッチ」と称して、林屋ペー、パー子バリに写真を撮りまくっていた自分にとっては、写真というツールが、病気回復を早めるきっかけになり得たのではないかと思うのだ。

 井上病院の精神科医、米良正剛先生は「一日、寝ていることしかできない患者さんにとっては、テレビを見ることだって、リハビリになる」と言われていた。(精神障害自立支援ネットワーク宮崎の定例会にて)

 写真を撮るという、ただそれだけの行為だが、当事者の方々にとって、おおきなきっかけとなる可能性を感じた写真展だった。


写真展 「I love みやざき」を見て

吉岡けい子

 8月10日、写真展開始一番乗りで父と出かけました。

 写真を見て感動する時というのは、これまでの私の場合、「素晴らしい瞬間をとらえている」とか「すごいテクニックで撮影されている」とか、「思わず笑みがこぼれるもの」とかに出会った時でした。カメラマンでもある父の場合は、それに「撮影者がシャッターを押した瞬間への共感」があるようです。今回の写真展では、私は、今回初めて「写す」ことが「風景を切り取る」ということではなく、「自分の気持ちを表すものである」ということを実感しました。

 被写体は、道ばたに咲く名もない小さな花だったり、雨上がりの水たまりだったり、咲き終えた朽ちた花であったり、はたまた空ゆく雲であったりします。その日常の風景の中で、撮影者が「あら、いいなあ」と言っている声が聞こえてくるような写真ばかりなのです。カメラを持った喜び、レンズを通して出会った素直な気持ちがどの写真にも満ち溢れています。しかも、一人一人が違う感性を持っていて、「あ、私もこんな気持ちになる時がある」とか「そうそう、こんな風に注目することあるんだよ」と会話しながら見ていく自分がいるのです。

 父は、一枚一枚時間をかけてじっくり見ていました。父は、「芸術は、往々にして見る人の好みを下敷きにして、鑑賞したり批評したりしがちだが、今回の写真展は、自分の好みの下敷きなしで、全くの白紙の下敷きで鑑賞すれば、どれだけすばらしいものかがわかるね。」といい、撮影者の心の感動に共感し続けていました。そして、「とても判りやすい素直な写真」と絶賛していました。

 この写真展そのものが、写真家小林順一さんのカメラと向き合う姿勢だと思います。言葉で言い表せない自己表現の場をカメラを通して作られたことに敬意を表します。素晴らしい活動をされていると思います。

 音楽でもコンテストで優勝するための演奏と心を写す演奏とは全く異なります。カメラも楽器と同じなんだなあとつくづく思いました。

   
 
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