<日々是出会>2024/11/21
大熊由紀子氏の「えにしメール」で『87歳・伝説の潜入取材記者・精神医療の「闇」に映画で問う』という見出しを見て興味を持ち、東京新聞の記事を読む。
記事は、大熊一夫氏が制作した映画「脱・精神病院への道」を取り上げている。大熊氏は50年以上前、アルコール依存症を装って病院に潜入し『ルポ・精神病棟』を著した記者であり、精神医療の問題を世に問うた先駆者だ。87歳を迎えた今、活字ではなく映画という形で、精神医療の「闇」を後世に訴えたいと語る。
映画は4章構成で、第1章では、身体拘束をめぐる最高裁判決に触れ、第2章では大熊氏が精神医療の実態を告白。第3章では北海道の「浦河べてるの家」の取り組みを紹介し、第4章では地域から精神科病院をなくした事例を通じて未来への道を示している。
身体拘束に関しては、2018年度の統計で11,362人が対象となり、その中には拘束が原因で命を落とす患者もいるという現状がある。手の足りない医療現場では、自傷行為などの要因を探る余裕がなく、拘束や薬に頼る対症療法が続いている。
また、精神医療に関する改革の必要性を示す例として、精神科医の笠陽一郎氏の取り組みが紹介されている。
笠氏は当事者と共に人権を尊重する医療を目指し尽力しており、その姿勢には感銘を受ける。一方で、日本の精神科病床数は約30万床と世界的に多く、神出病院や滝山病院のような虐待事件も後を絶たない。国や行政の対応が不十分である現実は、大熊氏の著書『ルポ・精神病棟』が「昔話」にならないことを物語っている。
現在、日本では614万人、国民の20人に1人が精神疾患を抱えている。精神疾患は特別なものではなく、誰もが当事者になり得る。地域で入院医療に頼らず支え合える体制を構築することが、当事者にとって最善の道である。このような現状を直視し、改革を進めるリーダーを選ぶべき時期に来ていると感じる。 |
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「障がい者写真集団・えん」メンバー写真を掲載してきましたが、講師が2017年11月に交通事故にあって以降、写真ワークショップを休止していますので、当分の期間、講師が以前撮った写真を掲載します。
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