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 宮崎もやいの会広報誌「すてっぷ」夏号

2016-7-20
テキスト版


NPO法人宮崎もやいの会広報誌「すてっぷ」夏号

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NPO法人宮崎もやいの会のH25年〜H27年の活動報告    代表 小林 順一

 NPO法人宮崎もやいの会の広報誌「すてっぷ」をH257月から発行されていなかったことに対して代表として深く反省しているとこです。 
 法人の活動の広報をホームページを中心に発信していたので、紙媒体の広報がおろそかになっていました。改めて法人のミッションなどを知ってもらって賛同していただくには、インターネットでの発信と合わせて広報誌として伝えていくことも大事ではないかと総会で話し合い、今回の夏号は、法人として3年間のメインの事業を掲載することにしました。

【当事者による当事者のための企画】

 法人としてH25年から県や市の委託事業を受ける場合、当事者を主体にした企画案を提案し、採択されてきました。
 H25年度は、県の人権啓発事業を受託して、県内3ヵ所(延岡市・日南市・宮崎市)で当事者のトークセッションと地域支援者のパネルディスカッションを2部構成で開催しました
 各地域100名前後の参加者があり、1部のトークセッションでは、当事者に色々な思いを発言してもらう事によって素晴らしい考えや特別な人達ではないということを知る機会になりました。2部では、医療・雇用・居住・地域の各分野の専門家をパネラーに、地域での支援の在り方を話してもらう事で、地域で積極的に支援されている支援者の現状を知ってもらう事になりました。

【当事者スタッフの賃金が当たり前になった】
 また、開催準備から、当事者を中心に実行委員会を作り、事業内容を話合うことに対して謝金という人件費をつけることで、当事者の仕事したいという意志を尊重した予算計上にして、積極的に自分を発揮するという意志を持って参加してもらいました。
 当事者の就労に対する意志は、働きたいけど働くとこがない、という現状に社会が答えていない、ということを委託事業を通じて、賃金的な面と仕事に対する意欲を高めるという面を支援することができたと考えています。
 このような賃金的な支援は、その後の事業申請でも継続して組み込んだ予算計上にして受託してきました。
 H26年度は、もっと当事者の現状を知ることをテーマに県との協働事業「精神障がい者ソーシャルワーク・トライ」で、アンケート調査と民間企業へのビデオ取材、この二つの事業の報告会を開催しました。
 この事業でもピアスタッフとして当事者が、アンケートの調査項目や質問や答えやすさを考えてもらう運営会議を行って「当事者による当事者のためのアンケート調査」を実施しました。
 アンケート用紙の制作、印刷封書詰め、発送、発送先への回答の呼びかけ、回収と全て当事者を中心に行い、結果344名の精神障がい者からの回答が回収できました。
 また、精神障害者を雇用している民間企業へのビデオ取材は、取材先、インタビュー内容、取材先との打合せ、インタビューなどをピアスタッフが担当して県内4社の民間企業を取材することになり、企業側とピアスタッフに、お互い取材を通して気付きや学びを報告してもらいました。
 最後の報告会は、「当事者のチャレンジ」ということで10名のピアスタッフに事業を通じて気付きなどをトークセッションという形式で意見を発信してもらいました。

【県内18ヵ所、668名参加の「ふれあい交流会」】
 H27年度は、県委託で「ふれあい交流会」を県内18ヵ所で開催して668名ほどの参加者がありました。  今回もピアスタッフに運営会議に参加してもらって交流会の第1部の当事者の語りに関して精神疾患及び障がいの理解を促すことに重点を置いた語りにするためにスタッフで語りの内容を検証したりしてより理解される内容にするために話合いました
 第2部のグループワークでは、接触体験が理解につながるということもあり当事者が必ずグループに参加するということにしたので、質問や話しかけられることにどう対応するか、運営会議で話し合ってスキルを高めました。
 このように事業を通じて当事者のエンパワーメントを発揮したり、自信と意欲を高める効果につながったり、経済的にも支援できる事業展開が実施できたことは法人の目的である当事者主体の運営の達成と活動実績及び評価につながると考えています。

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特集「ピアサポータの有効性を活用した雇用を考える!」
〜ピアサポーターに対する国の施策での位置づけ〜

国の施策の中でピアサポーターの評価は定着していますが、施策の中での活用にしっかりした賃金の還元を示すことで、関係機関の雇用につながると考えられる。

● 障害者総合支援法施行3年後の見直しについて(今後の取組)
(平成27年度社会保障審議会障害者部会報告書より抜粋)

精神障害者に対する支援について
(基本的な考え方)
○医療・福祉や行政機関など精神障害者を取 り巻く様々な関係者が、本人の意向を尊重し、 精神障害の特性を十分に理解しつつ、連携・  協働して精神障害者の地域移行・地域生活の 支援の取組を強化するため、以下のような取組みを進めるべき である。

(ピアサポート)
○地域移行や地域生活の支援に有効なピアサポートについて、その質を確保するため、ピアサポートを担う人材を養成する研修を含め、必要な支援を行うべきである。

● ピアサポーターについて
(平成27年度社会保障審議会第71回障害者部会資料)

○ピアとは、「仲間・同輩・対等 者」という意味である。

○ピアサポートとは、一般に同じ課題や環境を体験する人がその体験から来る感情を共有することが専門職による支援では 得がたい安心感や自己肯定感を得られることを言い、身体障害者自立生活運動で始まり、知的障害や精神障害の分野でも定着し始めている。

○北米では、2000年代に入り、精神疾患のある人々が精神保 健システムのなかのチームの一員として 働く「認定スペシャリスト」と言う新たな職種が創設され(精神疾患のある人々が)多くの精神保健提供機関の中で働くようになった。

○ピアスペシャリストが提供するサービスの効果の有効性
 1、利用者への効果
 2、ピアスペシャリストへの効果
 3、サービスの質への効果
 4、他専門職者及び精神保健システム全体への効果
    4点に整理することができる。

  以前からピアサポーターの支援の有効性は示されていた。

○ 入院が長期化し退院に関して非常に大きな不安を抱く患者への声かけの支援である。
自分と同じように、かつて入院していた体験を持つ仲間であるピアの立場から声かけをされることでの安心感が持てる。
○ 患者及び地域での当事者に対する相談支援として、疾病や障害を持つ仲間たちが日々地域生活の実際を営む暮らしぶりを見聞きできることは共感を得やすく、相談のしやすさも保障される。
 また、支援にあたるピアサポーターは、自分が仲間の退院支援や相談支援に役立っているのだという有益感、自尊心の向上を得られる。
○ 急性期の患者及び地域の当事者の家族に対し、ピアサポーターがかつて入院経験を持ち、現在は地域住民として社会参加して暮らしている姿を示すことにより、子供の将来の姿として家族に安心や希望 をもたらす支援もできる。
○ ピアサポーターが自立支援員等と、医療機関内への訪問や退院に向けた患者の支援にあたってもらうことについて、医療機関のスタッフは不安 や心配を持つことが当初は多い。
 しかし、かつて病状の重かった患者の元気な姿や支援活動にあたる姿は、医療機関スタッフに刺激と希望を与えてくれる存在にもなっている。

● 現在、ピアサポーターとして雇用されている職場は、
・精神科病院内の部署にピアサポーターとして、相談業務など
・就労支援事業所にピアスタッフとして、相談業務など
・病院経営の有限会社にピアサポーターとして店舗運営など
・地域活動支援センターのピアスタッフとして相談業務など
・精神保健福祉交流センターのピアスタッフとして、相談業務など
最初の段階では、ピアサポーターの雇用を2人体制にすることで、お互い支え合いながら業務を円滑に遂行していくことができる。
 このように、国の施策では、ピアサポーターの位置づけが示されているが、県内では、雇用の事例がないのが現状である。

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特集「ピアサポータの有効性を活用した雇用を考える!」
〜ピアサポーターが活躍できる宮崎へ〜

ピアサポーター&相談支援専門員 小川 秀司(延岡市)

 私は49才です。24才の頃から躁うつ病で入退院を繰り返していました。安定しているときは働けるのですが、躁の時は、でしゃばるような行動になるし、寝なくなります。うつの時は思考がストップして「だめだ、だめだ」「俺が悪い、俺が悪い」といった言葉しか頭に浮かばず全然仕事ができない状態になります。    
 退院してもすぐに職に就けるわけでもないのでボランティアをよくしていた時に、大輪の会の人たちと知り合いました。
 私は、平成18年に今働いているNPO法人大輪の会がヘルパー派遣事業所を立ち上げる時に介護福祉士を持っていたので雇用されました。また、私が精神障がい者であると知ってのことでした。
 大輪の会は、身体障がいを中心に三障がいを会員に持つ当事者団体です。戦後間もないころから立ち上がり、延岡では歴史のある団体です。
 勤めてから半年が過ぎたころ事務所内で相談支援事業を立ち上げる話が出てきました。そんな時期に延岡市から委託を受けていた事業所が委託事業を取りやめたため、新たに委託事業所を補充することになり大輪の会も委託公募に手をあげました。
 精神障がい者の私と身体障がい者の福丸順子さんと相談支援事業を立ち上げる準備をしました。福丸さんは、以前、他の相談支援事業所で働いた経験があったので心強かったです。
 夜遅くまで残業して提出書類に、相談支援員が二人とも障がい当事者であることを売りにした文章を考えて提出しました。そのことが評価されたのか、応募の中から大輪の会が受託することになりました。
 相談支援事業所の名称は、「そうだん室とびら」と決め、開所式のスピーチで躁うつ病であることを公表したので、新聞にも取り上げられました。
 そうだん室とびらを開所して、精神障がい者の相談支援員であることを新聞などで知って、多くの当事者が訪れてくれました。
 現在、委託事業に加へサービス等利用計画を立てる相談支援を中心に運営していますが、地域移行・地域定着支援事業も守備範囲です。
 名刺に精神障害当事者と明記しているので初対面の相談者に「私も精神障がい当事者なんですよ」と自己紹介すると、より親近感を持ってくれますので、身をもって体験した通院や服薬などの大事さを伝えたりしています。
 私は、職に就けなかった時に、当事者でも人の役に立てることを周りに知ってもらおうと、ボランティアに力を入れたことが、今につながっていると思います。
 これからも当事者としての目線を、大事に仕事をしていこうと思います。

『私が考えるピアサポーターのいいところ〜可能性は無限大!』

ピアサポート専門員 兒玉 美香(宮崎市)

@精神疾患を経験していること
 相談業務において、発病時の混乱・入退院前の不安な気持ち・治療を続けながら地域で暮らす苦労・喜び・現在にいたるまでの「嫌だった支援・うれしかった支援」など自分の人生の物語を適切な形で他の人に提供することができます。
 面談前に暗い表情をしていた本人やご家族が「自分たちの良いところ」に気づき、「希望」を持ち、笑顔を見せて帰られると「病気の経験も無駄ではなかった」と感じます。またお話を聴かせていただくことで私自身も良い経験になっています。

A治療・回復の主人公は
「本人」であることを「心」でわかっていること
 私自身、急性期の大変な状態からたくさんの経験をし、失敗しながら学び、少しずつ回復しています。
 周囲からはなかなか気づいてもらえないような「小さな頑張り・良い変化」も共に喜び、わかっているけれどなかなかできないような「悩み」も共にわかちあい、頑張りすぎて何もやりたくない時はまた歩き出せるようになるまで「見守る」。
「支援する・される」の関係ではなく、何事も「共に」という姿勢でそれぞれの人生を肩をならべて歩いていく。
 「本人が幸せを感じながら地域で暮らしたい」という気持ちを継続して応援できます。

『なぜ雇用を目指すの?』
 〜「ピアサポーターとして働く」という選択肢・スキルアップのチャンスを作る〜
 ピアサポーターの活動は無償・活動に対する謝金型など色々ありますが、優劣はなくどれも素晴らしいと思います。 地域活動支援センター・NPO法人宮崎もやいの会などで約6年間活動する中で「せっかく病気になったのだから経験を活かして働きたい」という夢を描くようになりました。
 ピアサポーターは支援のチームの一員として色々な人と協働することで「当事者ならではの視点を持った支援」という良いところを発揮できます。
 本人が安心して働き続けるために「何でも話しやすい雰囲気」「みんなで学び続ける」「本人の特性に合わせた働き方を考える」など職場の環境作りをすることは精神保健福祉分野の職場だけでなく民間企業の「メンタルヘルス」分野に貢献できるのではないでしょうか。様々な職場で「ピアサポート」の視点を持った方が当たり前に働けるようにしていきたいです。
※ピアサポート専門員・・・一般社団法人日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構が実施する「精神障がい者ピアサポート専門員養成研修」の「基礎・専門・フォローアップ」全課程を修了した者。

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寄付のお願い・新規会員募集

<<寄付のお願い>>
 前年度までの助成事業を通じて、今年度もより地域での課題解決を図るための活動を充実させることを目的に助成申請をしましたが採択されないという結果になりました。
 このようにNPO法人として課題解決を目指す活動資金を公募型の助成金や補助金に頼ることで、採択されなかった場合に活動が推進できないという弊害を、今回の助成申請で改めて感じた次第です。
 NPO法人の運営に関しては、設立時から公益性と収益性の両輪を上手く回して運営をすることが求められていましたが、直近の課題を解決するのに追われて助成金に頼って運営してきた現状を改めて問い直すことになりました。
 法人の活動を推進するには、如何に資金を独自に集めて実施することができるか、ということを考えると、法人のミッションや活動に賛同して寄付をしていただくという方法もその一つで、法人の活動を徹底して周知することによって企業や個人の賛同者を増やし、寄付によって法人の運営に協力していただくことをお願いすることにしました。
 賛同するには、法人がどのような活動を企画しているのか知っていただくことが大事なので、今回助成申請した案を記載します。

【@居場所 プロジェクト】
 公的施設が開設していない夜間などに相談することが出来ず一人で不安や悩みを抱へて調子を崩すというメカニズムを解消するために気軽に行ける居場所づくりを行う。
 ピア(仲間)が集まってお互いに相談したり話し合ったりできて、お互いに支え合うことを基本にピアスタッフが居場所でのプログラムを企画・運営して行く。
 居場所があることで、精神障害当事者が地域で生活するうえでの課題をピア(仲間)と共に医療・福祉・保健・地域支援者と連携して解決していくシステムを構築する。
 人と人をつなぐ居場所づくり。

【A仕事 プロジェクト】
 働きたいという意欲を持っているけど偏見によって閉ざされている現状を打開するには、自ら持っているストレングスである技能やスキルを売り込むためのスキルシートを作って、企業の求める人材とつなぐことで、より適した就労をマッチングさせられる。
 また、当事者の特徴である気分の調子によって働けたり働けなかったりということを解消するには、同じスキルを持った者同士で仕事を受託して、調子が悪いときには、他の仲間が補い合う就労スタイルを当事者自身が作って自分たちに適した就労の在り方を提案していく
 2018年に精神障害者の雇用が義務化される施策に、新たな就労支援によって閉ざされている道を開くのと、精神障害者と企業とのベストマッチを可能にする提案である。

【B地域 プロジェクト】
 国の施策である地域移行支援事業によって「病院から地域へ」という施策が実施されていますが、宮崎県では平成25年度5千人ほどの入院患者がいて2件しか利用されていません。
 このような現状に対応するためにも専門的な相談支援員の人材養成と退院スキルアップ講座の実施及び退院を支援するピアサポーターの養成が急務と考えられる。
 また、ピアサポーターの活用を国は進めていることを踏まえて院内交流会などによって入院患者に退院の意慾を喚起する。

 以上、優先順位の高い3つの課題を具体的な支援によって解決する案を提案しましたが、不採択でした。この提案を積極的に実施する方策として、寄付や新規会員を募集することにしました。

<<新規会員募集>>

『僕は「できない理由」ではなくて 「どうすればできるか」を考えたいんだ。君はどうだい?』
「どうすればできるか」を一緒に考えて行動する3つの会員を準備しました。
○交流会員
 ピア(仲間)同士で交流する会員、ピアと交流する支援者、地域の人は、交流会員になれます。
○活動会員(プロボノ)
 専門職が、職場でできないこと、家族が家庭でできないことを、ボランティアで活動する、活動会員にな れます。
○寄付会員
 毎月、百円から、寄付会員になれます。
 (ろうきんのNPO自動寄付制度(百円単位で振替額設定)に申請中)

寄付及び新規会員の申込は、宮崎もやいの会に、電話・ファックス・メールでお申し込み下さい
TEL&FAX:0985-71-0036  E-mailm-moyai@kag.bbiq.jp  

○宮崎もやいの会の賛助会員も、年会費3000円で募集しています。
<郵便振替口座>
 加入者名:NPO法人宮崎もやいの会
 口座番号:01790-8-129494/右詰

※ 全てのページの掲載写真は、写真ワークショップで当事者の撮った写真です。

   
 
特定非営利活動(NPO)法人 宮崎もやいの会
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